冠婚葬祭で、生前に自分の葬儀について家族に相談をするといったケースは、これまで不謹慎と思われてきました。家族に話したとしても、「何を言っているのですか、元気なのに」と言われるのがオチで、話題もすぐに萎んでしまいました。ところが、日本人の寿命が伸びているのと、平均寿命の男女間の差が開いてきて、女性の寿命が男性よりも6歳と格差が広がってきました。そうして、昔は会社勤めを終えて退職して5~10年で亡くなっていたのですが、定年後に15~20年の人生が始まる時代になったのです。

高齢者夫婦の死に至るまでの時間が、二人には十分過ぎるほど持てるようになりました。二人のうち、どちらかが亡くなった時に備えて、夫婦で話をしておくといったことが日常となりつつあります。それは、冠婚葬祭の冠婚に対する結婚式や孫の誕生などは、年々少なくなり、とうとうゼロに至り、親戚や知人の葬儀に参列する機会が増えてくるからです。葬儀に参列する度に、自分たちの葬式について話し合う機会が増えてくるのは当然です。

子どもたちに相談しても話は続かず、相談する相手は冠婚葬祭のプロである葬儀社に足を運ぶ結果となります。葬儀社では、生前に葬式の在り方やお墓についても相談にのるコーナーを設けている所が増えてきました。また、家族葬なる葬式の形態が、中々理解できずに相談するケースもありますし、生前に自分の葬式の在り方を決めておき、子供たちに手間を取らせないといった親心のケースもあります。